
もっとも、そういう部分もありますしそれも問題なのですが、大変なのは高年齢船員の死傷災害発生件数がここ数年の災害発生件数の減少傾向に逆らって、増加していることなのです。
言うならば、高年齢船員の死傷災害の増加に拍車がかかった、といういやな話なのです。
爪を剥がした、脛をうった、頭にタンコブを作った、というくらいなら、まだどうということはないのですが、ここで言われている数値は死傷災害なのです。
この現実を踏まえ、運輸省でも船員災害防止基本計画の重要項目の一つとしてこの問題を取り上げ、昨年の春から調査研究をスタートさせました。
船員災害の原因は、それこそ山ほどあるわけですが、まず被災者本人が、その作業自体に適していたのかどうか、元来、その仕事をして良かったのかどうか、それとも、その仕事自体、もともと本人にとってすでに危なかったのではなかったのか。
ということで、とりあえずわれわれ船員の心身機能の検査を行い、この結果をもとに作業環境の改善、いわば「事故の起こりにくい戦場」を作っていこうと、作業に取り組んでいるところです。

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